内定者研修を成功へ導くための目的設定と実施内容・ポイントをわかりやすくご説明します。

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内定者研修を成功へ導くための目的設定と実施内容・ポイントとは?

採用の売り手市場が続き内定辞退率が増える中、内定者研修の目的や方法、内容を再検討する必要があると考えていませんか。またオンラインでの研修に課題を感じていませんか。

プロシーズでは創業から20年以上にわたり、企業の皆様に内定者や新入社員育成の側面からご支援させていただきました。その中で感じるのは、多くの企業様が内定者研修に必要な以下3つの要素を見落としがちであるということです。

  • チームワークの醸成
  • 内定者の即戦力化
  • 人事担当者と内定者間の相互理解

ここでは弊社のこれまでの経験や多くの企業様から見聞きした内容から、内定者研修を成功へ導くためのポイントや具体的な研修内容などをご紹介します。

企業側が求める内定者研修の目的

まずは企業側の目線から、改めて内定者研修を行う目的と内定者に求めている資質や能力について確認していきましょう。

企業が内定者研修を行う目的

企業によってさまざまですが、内定者研修を行う目的は主に2つに分けられます。

内定者の不安解消

社会人になることに不安を抱いている内定者は少なくありません。研修を受けることで内定者のさまざまな不安を取り除き、スムーズな入社につなげることが必要です。

千寿製薬株式会社が2023年3月に発表した「新生活におけるコミュニケーションの意識や実態」という調査では、新社会人の55.3%が「新たな人間関係の構築」に不安を抱えていると答えました。また「上司とのコミュニケーション」に不安を感じている人も54.3%いるなど、主に新しい生活における人間関係に不安を感じている人が多いことがわかります。

また日本労働調査組合が2021年6月に発表した調査では、新社会人の22.0%が入社した会社で働き続ける上で人間関係に懸念を感じていることがわかりました。

引用元:日本労働調査組合,新社会人(21卒)の約50%がすでに退職を検討「新社会人の勤務意識に関するアンケート」結果発表

少子化による売り手市場は今後しばらく続くでしょう。こうした中で内定辞退や早期退職を防ぐためには、早い段階で内定者同士や社内の人間と信頼関係を築いてもらうことが必要です。

内定者の即戦力化

社会人になると、学生では触ったことのないツールを活用したり、これまで馴染みのなかったルールなどを学んだりすることは少なくありません。また近年はスマートフォンの普及によりパソコン操作に馴染みがない学生や、インターネットに触れているものの情報漏洩に対する理解やITリテラシーが十分ではない人も見られます。また専門的な技術や知識が必要な業種の場合、入社前に基礎を学んでおくことでスムーズに入職できることもあるでしょう。

即戦力化を図るための取り組みの一環として、こうした社会人としての基礎的知識やツールの使い方等を内定期間に学んでもらうことで、内定者研修を行う企業が多く見られます。

企業が大卒者に求める資質・能力

では具体的に、企業はどのような能力を内定者に求めているのでしょうか。一般社団法人日本経済団体連合会(以下 経団連)が2022年1月18日に発表した「採用と大学改革への期待に関するアンケート結果」からその目的を考察します。

こちらの調査では大学生に何を求めるのか、特に期待する資質、能力、知識という3つのカテゴリに分けて調査しています。それぞれについて見ていきましょう。

引用元:日本労働調査組合,採用と大学改革への期待に関するアンケート結果(一般社団法人 日本経済団体連合会)
主体性

「特に期待する資質」として8割以上の回答企業が求めていたのが主体性です。経団連が2014年、2015年に行った「新卒採用に関するアンケート調査結果」でも、6割の企業が「選考にあたって特に重視した点」として主体性を挙げています。

一方で、2022年の調査では84.0%もの企業が重要だと示唆しており、年々重要度が増している資質であることがわかります。

チームワーク・リーダーシップ・協調性

主体性に次いで76.9%もの企業が「特に期待する資質」として挙げているのがチームワーク・リーダーシップ・協調性です。組織として最大限力を発揮するために必要とされるチームワークや協調性は、以前から求められている資質の一つです。

中でもリーダーシップは、単に組織を引っ張る資質だけではなく、目的達成のためにメンバーの士気を高めたり、チームの課題を解消する動きをするといった意味合いもあります。人材確保が難しい昨今、早い段階でリーダーシップの能力を身につけることが組織全体の最適化につながることからも、上位に上がっていると考えられます。

課題設定・解決能力/論理的思考力

「特に期待する能力」として上位を占めるのは課題設定・解決能力、論理的思考力です。これらは中途採用でも重宝される能力となっており、面接の際に課題設定・解決能力や論理的思考力についてアピールする人材も少なくありません。一方で、こうした能力に優れた人材は獲得が難しいため、早い段階から能力の育成が求められているものと考えられます。

文系・理系の枠を超えた知識・教養

「特に期待する知識」として、近年特に注目されているのが文系・理系の枠を超えた知識・教養です。実は専攻分野における基礎知識や専攻分野における専門知識よりも上位を占めています。

高校や大学では文系と理系に分かれ、学ぶ内容が大きく変わることも少なくありませんが、社会人になると両方の知識が必要となる場面が多く見られます。実際に令和4年9月に行われた文部科学省の大学振興部会(第4回)では「文理横断・文理融合教育」が議論されており、国際的に活躍できる人材育成のためには今後意識すべき部分と言えるでしょう。

内定者が研修に求める内容

ここまでは企業側から見た、内定者研修の目的や内容について見ていきました。一方で、新社会人となる内定者はどのような研修を望んでいるのでしょうか。

内定者が抱える不安や悩み

学生が求める研修内容を知るためには、新社会人がどのような不安や悩みを抱えているのかを知る必要があります。さまざまなアンケートから紐解いてみましょう。

社会で活躍できるかについての不安

プロシーズが約2900名の内定者を対象に行ったアンケートでは「仕事についていけるかという不安」を抱えている内定者が3割にのぼることがわかっています。

「文系・理系の枠を超えた知識・教養」の部分でも触れましたが、社会人には学生時代に座学で学んだこと以外にも、さまざまな知識や教養が必要とされます。学生自身もそれを理解していることから、仕事に対する不安が上位に上がっていると考えられます。

人間関係に関する不安

また、同アンケートで2番目に回答が多かった人間関係の悩みは、コロナ禍で大学時代を過ごした学生にもその傾向が見られます。文部科学省が無作為に抽出した1,744人の学生から回答を得た「新型コロナウイルス感染症の影響による学生等の学生生活に関する調査(令和3年3月調査)」では、29.1%の学生が「友人が思うように作れない」と回答。特に学部1年生での割合が高いことから、新たな人間関係の構築が必要な内定者や新社会人も、同様の悩みを抱えていると考えられます。

引用元:文部科学省「新型コロナウイルス感染症の影響による学生等の学生生活に関する調査(結果)」
生活リズムや環境の変化

先程ご紹介したプロシーズのアンケートで3番目に多いのが「生活リズムの変化に対する不安」です。

株式会社日本能率協会マネジメントセンターが2022年12月に行った調査によると、配属1~3ヵ月後の新社会人に最も多い課題は「生活リズムがつかめない」ということが明らかになりました。これはコロナ禍で入社直後から在宅勤務の割合が多かったためと考えられますが、2019年の調査でも2位と高い順位のまま推移しており、学生にとって大きな課題であることが見て取れます。

引用元:株式会社日本能率協会マネジメントセンター「イマドキ新入社員の仕事に対する意識調査2022」
コロナ禍の学生は「キャリア」への不安が強い

文部科学省の調査では、コロナ禍で学生時代を過ごした学生は、特に将来のキャリアに対して悩みを抱えていることも明らかになっています。不安定な時代背景の中で、キャリアの見通しが立てられない、またキャリアプランの変更を迫られた学生は71.5%と高水準となりました。

引用元:文部科学省「新型コロナウイルス感染症の影響による学生等の学生生活に関する調査(結果)」

内定が決まったタイミングだからこそ、「入社すること」がゴールにならないよう、今後のキャリアプランの構築についてはしっかりフォローする必要があるのかもしれません。

内定者側が求める内定者研修

こうした結果から、内定者側は以下3つの要素を含んだ研修を求めていると考えられます。

入社後の生活やキャリアのイメージがわかる内容

入社後の生活やキャリアに対する不安を払拭するため、内定時に学んでおくべき知識や教養、新社会人になってからの生活環境やその後のキャリアプランなどが描けるカリキュラムを望んでいると考えられます。

その他にも入社後のフォローやリモートワーク時の働き方、わからないことがあったときの質問の方法など、内定者の不安を払拭するようなものが求められているといえるでしょう。

入社後の職場環境や人間関係がわかる内容

職場環境は内定者の中でも重要度の高い関心事であり、場合によっては早期退職につながる要因になることもあります。自分が働く場所ではどんな人がいて、どのように活躍しているのか、職場の雰囲気は良いか、といったことがわかると安心材料となります。

内定者同士の交流

内定者にとって新しい環境の中で最も親しい関係になり得るのが、同期となる他の内定者です。株式会社学情が2023年3月に卒業(修了)を控える学生に調査したところ、84.5%が内定承諾や辞退の判断材料にするために社員や内定者とリアルで話す機会がほしいと答えています。内定者同士の交流を促すことは、入社前にチームワークを高めるだけでなく、内定辞退の防止にもつながるといえるでしょう。

今求められる内定者研修3つの目的

企業側は内定者の不安解消を重要視する一方で、即戦力として働いてもらうためにスキルアップにつながるカリキュラムについてもしっかり行いたいと考えています。また、この段階で自社の文化や空気感、制度面についても理解してもらうことで、「こんなはずではなかった」といった入社後のギャップを防ぎたいという思いも持っているといえるでしょう。

一方内定者側は、入社後の生活やキャリア、仲間同士の交流といった内容を望んでいることが明らかになりました。

これらを踏まえると、現代の内定者研修に求められる目的として以下3つが重要になると考えられます。

1. チームワークの醸成

内定者同士はもちろん既存社員との交流を通して、会社の一員であることの意識醸成やチームワークの土台を築いていくことが必要です。

内定者同士については内定式や懇親会、またオンラインツールを使った交流機会の創出を通して交流を深めていくといった方法があります。また内定者で一つの事柄に挑戦するチームビルディングを行うことで、連帯感の醸成にもつながるでしょう。既存社員との交流についてはインターン、オンライン交流、またモデルケースの働き方紹介などの方法があります。

こうした取り組みは会社の理念やビジョンを知る機会にもなります。ディスカッションやチームビルディングを行う中で、経験と共に会社の考え方を理解していくことは、内定辞退や早期退職防止につながるだけでなく、働き方のイメージが具体化すればモチベーションも高くなります。即戦力化のためのスキルアップの促進にもつながるでしょう。

2. 内定者の即戦力化

「社会人として通用するスキルを身につけること」は企業と内定者両者に共通する課題のひとつです。ビジネスマナーなど基本的なスキルはもちろん、各業界で活躍するために最低限身につけておくべき専門知識などを内定者研修で学んでおくことで、内定者の不安解消にもつながるでしょう。

eラーニングを活用することで、内定者全員を一箇所に集めたり、資料を郵送する必要なく、スムーズに研修を進めることができます。

3.人事担当者と内定者間の相互理解

最も見落としがちなのが「人事担当者と内定者間の相互理解」です。具体的には研修中に適切なコミュニケーションを取ることで、信頼関係の構築と認識齟齬の防止を図りましょう。

内定者は不安と課題が山積する中で研修を受けています。そのためフィードバックがもらえず一人で黙々と受ける研修では不安や課題の解消に繋がらず、結果として内定辞退に繋がる可能性もあります。

「頑張りましたね!」といった一言でも「わかってもらえた」という安心感や信頼関係の構築につながるため、内定者研修の中でもとりわけ重要な要件と言えるでしょう。

内定者研修を成功させるためのポイントと内容

ここからは実際にどのような研修内容にすべきか、そのポイントと具体的内容について触れていきます。

内定者研修の成功につながる4つのポイント

内容を検討する際のポイントは大きく4つです。

1.目的の明確化

内定者フォローの支援をさせていただいていると、他社が実施しているから、昨年も実施しているからと言った理由で内定者研修を実施する方々も多くいらっしゃいます。研修を行うこと自体が目的化してしまうと、内定者の成長につながらないばかりか、企業や個人にマイナスの影響を及ぼしてしまう可能性があります。

先程ご紹介した3つの目的を踏まえ、会社として内定者研修で達成するべきこととは何なのかを明確にできるよう、目的を今一度見直してみましょう。

2.内定者とのコミュニケーションと合意形成

内定者との相互理解を深めるためには、採用担当者から研修の意図や目的を伝えるとともに、内定者自身の思いにも耳を傾け、内容をすり合わせていく必要があります。採用担当者の皆さんから内定者にアプローチし、これらを共有する場を設けましょう。

注意したいのが、一方的に伝えるだけでは合意形成には至らないということです。内定者自身にも目指したい姿や社会人として描きたいキャリアがあります。人事担当者から研修の意図や目的、将来像をしっかり説明するとともに、内定者の思いにも耳を傾け、お互いに合意形成を図りながら進めていくことを意識することが大切です。

3.チームワーク醸成のための工夫

チームワーク醸成の方法として内定式や懇親会、チームビルディングなどをご紹介しましたが、これらをただ開催するだけでは目的達成には至りません。特に初対面同士の場合、話す相手が偏ってしまったり、自分の意見を言うことができずに不満が募ったりと、想定とは異なる状況となり、逆に目的達成を妨げる可能性もあります。

こうした状況に陥らないためには、先に申し上げた目的の明確化はもちろん、リハーサル等を含めたしっかりとした準備やチームの属性に合わせた適切なコンテンツ選び、実施後のアフターフォローを心掛けましょう。

4.会社の制度や文化、空気感への理解促進

内定を獲得しているものの社員ではない内定者にとって、会社の制度や文化、空気感は人事担当者の手助けなくしては把握できない部分と言えるでしょう。また、中には場を設けても、自分からは知りたいことを切り出しづらい内定者がいることも想定されます。

そのため人事担当者はこうした機会を設けるだけでなく、社員と交流しやすい場作りを意識するなど、内定者が理解しやすい雰囲気作りも必要です。

また、事前に「何を話すか」「どう話すとよいか」などを研修等で学んでもらうことで、既存社員とのスムーズな会話や理解促進に努めるのも良いでしょう。

内定者研修におすすめのeラーニング研修4選

それでは具体的にどのような内定者研修を用意するのが良いのでしょうか。ここではプロシーズの内定者パックで人気の高かったeラーニング研修をもとに、おすすめの内容とポイントを4つご紹介します。

表計算ソフト(Excel)

業種や職種を問わず使用するツールのひとつが表計算ソフトです。中でもExcelはほとんどの企業が使用しており、簡単な操作だけでなく、表の作成やデータの紐づけなどが求められることも少なくありません。またバージョンによってメニューの位置や操作方法などが変わることもあるため、最新バージョンを使える能力が必要になります。

ビジネスマナー講座

社会人としての基礎とも言えるビジネスマナーですが、学生時代にきっちりと教えてもらえる機会はそれほど多くはありません。また、特定のアルバイト先やインターン先でしか使わないマナーを一般的なルールと勘違いしている場合も。能力よりも問われることのあるビジネスマナーは、内定者の内に知っておいてほしい教養の一つと言えます。

ビジネス文章力講座

コミュニケーションツールが進歩した昨今、ビジネス文章の作成は学生にとって縁遠いものとなりました。中でも社内と社外のメールの使い分けや、長文を書く場合の伝え方の注意点などは、学生時代に論文やメールに触れていた人たちも知らない場合が多くあります。配属先でイチから教えられない場合もあるため、内定者研修の段階でしっかり学んでもらうのがおすすめです。

ロジカルシンキング講座

ロジカルシンキングは仕事の効率化や課題解決のために必要な知識です。専門的な技術や知識がなくても、ロジカルシンキングの基礎があれば対応できる仕事や課題は数多くあります。どんなときにどのように考えるのか、どのような手法が効果的なのかを内定者研修の段階で養っておくと就業がスムーズになります。

まとめ

内定者研修の目的は、単に社会人に必要な知識や教養を学ぶことだけでなく、内定者と社員との交流、また人事担当者と内定者との相互理解にも重きを置く必要があります。

プロシーズの内定者パックは3,200社以上の企業様に導入いただいており、これまで15万人の受講実績があります。Excelを始めとしたのOffice講座や基礎から学べるビジネス文章力講座など、講座のラインナップは30種類以上。これらの進捗は管理画面で確認することができるため、スムーズに学習管理ができます。

また1対1でメッセージのやり取りができる他、会社への質問も受け付けられる機能など、内定者とコミュニケーションできる機能も備えており、相互理解を深めるのにもおすすめです。今回の内容を参考に、現在の内定者研修の中身を見直してみませんか。